高市早苗首相 所信表明演説の文字起こしとポイント

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高市早苗首相 所信表明演説

全文文字起こし

私は日本と日本人の底力を信じてやまない者として、日本の未来を切り開く責任を担い、この場に立っております。国民の今の暮らしや未来への不安を希望に変え、強い経済を作る。そして日本をより豊かにしていく。世界が直面する課題に向き合い、世界の真ん中で輝き誇る日本外交を取り戻す。絶対に諦めない決意を持って国家国民のため果断に働いてまいります。

政治の安定なくして力強い経済政策も力強い外交安全保障政策も推進していくことはできない。この思いを旨に、日本再起を目指す広範な政策に基づき自由民主党、日本維新の会による連立政権を立ち上げました。さらに国家国民のため政治を安定させる政権の基本方針と矛盾しない限り、各党からの政策提案をお受けし、柔軟に真摯に議論してまいります。国民の皆様の政治への信頼を回復するための改革にも全力で取り組んでまいります。それが国家国民のためであるならば、決して諦めない。諦めずに諸問題を解決しましょう。これがこの内閣の不動の方針です。

何を実行するにしても強い経済を作ることが必要です。そのための経済財政政策の基本方針を申し述べます。この内閣では経済あっての財政の考え方を基本とします。強い経済を構築するため責任ある積極財政の考え方のもと、戦略的に財政出動を行います。これにより所得を増やし、消費マインドを改善し、事業収益が上がり、税率を上げずとも税収を増加させることを目指します。この循環を実現することによって国民の皆様に景気回復の果実を実感していただき、不安を希望に変えていきます。

こうした循環を通じ、成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、政府債務残高の対GDP比を引き下げていくことで財政の持続可能性を実現し、マーケットからの信頼を確保していきます。この内閣が最優先で取り組むことは国民の皆様が直面している物価高への対応です。暮らしの安心を確実かつ迅速に届けてまいります。

物価上昇を上回る賃上げが必要ですが、それを事業者に丸投げしてしまっては事業者の経営が苦しくなるだけです。継続的に賃上げできる環境を整えることこそが政府の役割です。しかし実質賃金の継続的上昇が定着するまでには一定の時間を要します。また、輸入物価高騰の影響を受ける事業者への対応、経営難が深刻化する医療機関や介護施設への支援なども急を要します。速やかに経済対策の策定に着手するよう指示を行います。野党の皆様との真摯な対話と合意を積み重ねながら、速やかに対策を取りまとめ、必要な補正予算を国会に提出いたします。

国民の皆様の暮らしを守る経済対策補正予算となるよう、野党と知恵を出し合いましょう。自由民主党がこの夏の参議院議員選挙で公約として掲げた給付金については、国民の皆様のご理解が得られなかったことから実施しません。むしろ物価に関する国民の皆様のご懸念一つ一つに丁寧に対策を取っていきます。

まず、いわゆるガソリン税の暫定税率については、国会での廃止法案の成立を目指します。軽油引取税の暫定税率も早期の廃止を目指します。これらの廃止に伴い必要となる国及び地方自治体の安定財源を確保しつつ、開始までの間も補助金を活用することで価格引き下げに対応します。

国民の皆様の命を守り、安心して必要なサービスを受けていただくためにも、赤字に苦しむ医療機関や介護施設への対応は待ったなしです。診療報酬、介護報酬については賃上げ、物価高を適切に反映させていきますが、報酬改定の時期を待たず経営の改善および従業者の処遇改善につながる補助金を措置して効果を前倒します。

加えて国、地方自治体から民間への受託契約単価を物価上昇等を踏まえて適切に見直します。コスト高から中小企業、小規模事業者を守ります。生産性向上支援、事業承継やM&Aの環境整備、さらなる取引適正化等を通じ、賃上げと設備投資を強力に後押しします。

自治体向けの重点支援地方交付金を拡充します。物価高の影響を受ける生活者や賃上げ税制を活用できない中小企業、小規模事業者、さらには農林水産業などを支援する推奨メニューを設け、地域の実情に合った確かな支援を速やかにお届けいたします。合わせて寒さが厳しい冬の間の電気ガス料金の支援も行います。

いわゆる103万円の壁については、これまでの与党協議を踏まえ今年の年末調整では160万円まで対応することといたしますが、基礎控除を物価に連動した形でさらに引き上げる税制措置について真摯に議論を進めます。

高校授業料、給食の無償化についても、これまで与野党を超えて積み重ねてきた議論を踏まえ制度設計の議論を進め、安定財源の確保と合わせて来年4月から実施します。この機会に財政支援にとどまらず、日本の高校教育のあり方についても見直しを進めます。

そして、税、社会保険料負担で苦しむ中低所得者の負担を軽減し、所得に応じて手取りが増えるようにしなければなりません。早期に給付付き税額控除の制度設計に着手します。

輸入物価高騰措置に対しては、中小企業向けの資金繰り支援等、状況やニーズに応じた支援メニューを用意し、影響の緩和に万全を期します。

中長期的には日本経済の裾野を大きくしていくことが重要です。我が国の課題を解決することにつながる先端技術を開発させることで日本経済の強い成長の実現を目指します。そのために日本成長戦略会議を立ち上げます。この内閣における成長戦略の肝は危機管理投資です。

経済安全保障、食料安全保障、エネルギー安全保障、健康医療安全保障、国土強靱化対策などの様々なリスクや社会課題に対し、官民が手を携え先手を打って行う戦略的な投資です。世界共通の課題解決に資する製品サービス、インフラを提供できれば、さらなる日本の成長につながります。

未来への不安を希望に変え、経済の新たな成長を切り開きます。AI、半導体、造船、量子、バイオ、航空宇宙、サイバーセキュリティ等の戦略分野に対して大胆な投資促進、国際展開支援、人材育成、スタートアップ振興、研究開発、産学連携、国際標準化といった包括的な観点からの総合支援策を講じることで、官民の積極投資を引き出します。

世界で最もAIを開発、活用しやすい国を目指して、データ連携等を通じAIをはじめとする新しいデジタル技術の研究開発及び産業化を加速させます。加えてコンテンツ産業を含めたデジタル関連産業の海外展開を支援します。

坂口志下本さん、北川さんのノーベル賞受賞をお祝い申し上げます。強い経済の基盤となるのは優れた科学技術力であり、イノベーションを起こすことのできる人材です。公教育の強化や大学改革を進めるとともに、科学技術人材育成に資する戦略的支援を行い、真の技術立国を目指します。

そして成長戦略を加速させるためには金融の力が必要です。資産運用立国に向けた「貯蓄から投資」への取り組みの成果に基づき、日本経済と地方経済の潜在力を解き放つための戦略を策定し、官民連携で取り組んでいきます。

こうして日本の供給構造を強化し、世界の投資家が信頼できる経済を実現することで、世界の資本が流れ込む好循環を生み出します。

地域を活性化させ、食料安全保障を確保する観点から農林水産業の振興が重要です。農業については5年間の農業構造転換集中対策機関において別枠予算を確保します。世界トップレベルの植物工場、陸上養殖、衛星情報、AI解析、センサーなどの先端技術も活用し、輸出を促進し稼げる農林水産業を構築します。

国民生活及び国内産業を持続させ、さらに国力を強化していくためにエネルギーの安定的で安価な供給が不可欠です。特に原子力やペロブスカイト太陽電池などの国産エネルギーは重要です。GX予算を用いながら地域の理解や環境への配慮を前提に脱炭素電源を最大限活用するとともに、攻守融合技術等による徹底した省エネや燃料転換を進めます。

また次世代革新炉やフュージョンエネルギーの早期の社会実装を目指します。こうした政策を直ちに具体化させてまいります。我が国の総力を上げて強い経済を実現していこうではありませんか。

世界有数の災害大国です。南海トラフ地震、首都直下地震などの巨大災害に対する事前防災、発生してしまった災害の応急対策、復旧復興は国として対応すべき最優先課題です。防災体制の抜本的強化を図るべく、来年度の防災庁の設立に向け準備を加速します。

合わせて国自治体によるシミュレーションによりリスクを総点検し、デジタル技術や衛星情報、無人機等も活用しながら防災インフラ、老朽化したインフラの整備保全を始め、ハードソフトの両面で事前防災、予防保全を徹底します。

自然災害の頻発化、甚大化に対し、予測技術の向上等を踏まえ洪水の特別警報や高潮の共同予測予報、警報を新たに実施する制度改正を行います。

首都の危機管理機能強化体制を構築し、首都機能分散及び多極分散型経済圏を形成する観点から、首都及び副首都の責務と機能に関する検討を急ぎます。

福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生なし。被災者の皆様の生活や産業の再建、福島イノベーションコースト構想の推進等に取り組みます。

能登半島地震からまもなく2年。そして復興中の豪雨災害から1年が経ちました。被災地の賑わいと笑顔を一日も早く取り戻すためにインフラの復旧を急ぐとともに、被災者の皆様の生活支援や生業再建、産業の復興も進めます。

国民の皆様の命と健康を守ることは重要な安全保障です。人口減少、少子高齢化を乗り切るためには社会保障制度における給付と負担のあり方について国民的議論が必要です。超党派かつ有識者も交えた国民会議を設置し、給付と税控除の制度設計を含めた税と社会保障の一体改革について議論してまいります。野党の皆様にもご参加いただき、共に議論を進めてまいりましょう。

これまでの与党合意を踏まえ、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しや電子カルテを含む医療機関の電子化、データヘルス等を通じた効率的で質の高い医療の実現等について迅速に検討を進めます。高齢化に対応した医療体制の再構築も必要です。入院だけではなく外来、在宅医療や介護との連携を含む新しい地域医療構想を策定するとともに地域での協議を促します。加えて医師の偏在是正に向けた総合的な対策を講じます。合わせて新たな地域医療構想に向けた病床の適正化を進めます。

こうした社会保障制度改革を進めていく中で現役世代の保険料負担を抑えます。当面の対応が急がれるテーマについては速やかに議論を進めます。また攻めの予防医療を徹底し健康寿命の延伸を図り、皆が元気に活躍し社会保障の担い手となっていただけるように取り組みます。

特に女性の健康課題への対応を加速します。私は長年の課題である女性健康の問題に取り組んでまいりましたが、昨年女性健康総合センターが設立されました。同センターを司令塔に女性特有の疾患について診療拠点の整備や研究人材育成等に取り組むなど、その成果を全国に広げてまいります。

地方の活力は日本の活力です。地方が持つ魅力を生かし、そこに暮らす住民の皆様の暮らしと安全を守ってまいります。国による一歩前に出た支援の結果、TSMCが進出した熊本県、ラピダスが立地した北海道では関連する投資が誘発され、様々な経済効果が現れ始めています。こうした事例を全国各地に次々と生み出していこうではありませんか。

地域を超えたビジネス展開を図る中小企業を支援し、大胆な投資促進策とインフラ整備を一体的に講じることで地方に大規模な投資を呼び込み、地域ごとに産業を戦略的に形成していくことで地域未来戦略を推進します。テクノロジーや地域資源を活用した価値の創出、地域へのビジネス展開支援、関係人口創出、稼げる農林水産業の創出等を通じて、農山漁村、中山間地域を始め地方に活力を取り戻します。また若者や女性を含めて地方に住み続けられるようにします。

そのためには質の高い教育を始め必要な行政サービスを受けられるようにする必要があります。税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系の構築に向けて取り組みます。

日本の最大の問題は人口減少であるとの認識の下、子供子育て政策を含む人口減少対策を検討していく体制を構築しました。人口減少に伴う人手不足の状況において、外国人材を必要とする分野があることは事実です。インバウンド観光です。

しかし、一部の外国人による違法行為やルール逸脱により、国民の皆様が不安や不公平を感じる状況が生じていることもまた事実です。海外事例とは一線を画しますが、こうした行為には政府として対応します。

政府の統治機能を強化し、既存ルールの遵守を求めるとともに、土地取得等のルールの在り方についても検討を進めてまいります。そのために新たに担当大臣を置きました。

インターネットを悪用した新たな犯罪行為等にも、法規制の強化をもって厳正に対応していきます。国民を詐欺から守るための総合対策に掲げられた取組を着実に実施するとともに、法制度を含めた必要な検討を加速し、いわゆる特殊詐欺の撲滅を目指します。

新たな技術を悪用したストーカー行為や、配偶者からの暴力被害を防止するため、法規制を強化します。規制の強化に加え、法制度の時代に即した見直しも進めてまいります。

再犯防止のために重要な保護司について、安全確保策の充実を図るなど、制度の持続可能性を高めるための措置を講じます。また、確定した刑事裁判をやり直す再審制度の見直しについて検討を進めます。

我々が慣れ親しんだ自由で開かれた安定的な国際秩序は、パワーバランスの歴史的変化と地政学的競争の激化に伴い、大きく揺らいでいます。同時に、我が国周辺では隣国である中国、北朝鮮、ロシアの軍事的動向等が深刻な懸念となっています。

こうした国際情勢のもと、世界の真ん中で輝き誇る日本外交を取り戻します。日米同盟は日本の外交・安全保障政策の基軸です。日米両国が直面する課題に対し、しっかりと連携し、抑止力、対処力を高めていきます。

トランプ大統領が訪日する機会において、首脳同士の信頼関係を構築しつつ、日米関係を更なる高みに引き上げてまいります。また、日米同盟を軸とし、日米韓、日米フィリピン、日米豪など多角的な安全保障協議も深めてまいります。

在日米軍の円滑な運用のためには、地元を含む国民の皆様のご理解とご協力を得ることが不可欠です。沖縄県を含む基地負担軽減に引き続き取り組みます。普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古への移設工事を進めます。また、強い沖縄経済をつくります。

自由で開かれたインド太平洋を外交の柱として引き続き力強く推進し、時代に合わせて進化させていくとともに、そのビジョンのもと、基本的価値を共有する友好国やグローバルサウス諸国との連携強化に取り組みます。

いわゆるCPTPPについて、戦略的観点から締約国の拡大に努めます。重要な隣国である韓国とは、首脳の対話を通じ、関係改善を図ります。ASEAN諸国との今後の更なる関係強化も進めていきます。

中国は日本にとって重要な隣国であり、建設的かつ安定的な関係を構築していく必要があります。他方、日中間には経済安全保障を含む安全保障上の懸念事項が存在することも事実です。日中首脳同士で率直に対話を重ね、戦略的互恵関係を包括的に推進していきます。

北朝鮮による核・ミサイル開発は断じて容認できません。また、被害者やご家族がご高齢となる中で、拉致問題はこの内閣の最重要課題です。全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現するため、あらゆる手段を尽くして取り組んでまいります。

ロシアによるウクライナ侵略について、力による一方的な現状変更の試みを許してはなりません。日露関係は厳しい状況にありますが、日本政府の方針は領土問題を解決し、平和条約を締結することです。

2022年12月の国家安全保障戦略をはじめとする三文書の策定以降、新しい戦い方の顕在化など様々な安全保障環境の変化も見られます。我が国として主体的に防衛力の抜本的強化を進めることが必要です。このため、国家安全保障戦略に定める対GDP比2%水準について、補正予算と合わせて今年度中に前倒しして措置を実施します。また、来年中に三文書を改定することを目指し検討を開始します。

防衛そのものである防衛生産基盤、技術基盤の強化、防衛力の中核である自衛官の処遇改善にも努めます。

憲法改正について、私が総理として在任している間に国会による発議を実現していただくため、憲法審査会における党派を超えた建設的な議論が加速するとともに、国民の皆様の間での積極的な議論が深まっていくことを期待します。また、安定的な皇位継承の在り方に関する各党各会派の議論が深まり、皇室の安定的な継承につながることを期待しています。

来年は昭和100周年に当たります。昭和は戦争、終戦、復興、高度経済成長といった歴史的変革を経験した時代です。記念式典等の関連施策を通じて、この機会を国家的な節目と捉え、先人の知恵と努力に学ぶとともに、平和の誓いを継承し、国際社会の安定と繁栄への貢献につなげる機会としたいと考えます。

以上、ここに述べた所信により、必ずや日本を豊かにし、日本を再び世界の高みに押し上げてまいります。

古来より我が国においては、周議が重視されてきました。政治とは独断ではなく、ともに語り、ともに悩み、ともに決める営みです。国家国民のため、各党の皆様と真摯に向き合い、未来を築いてまいります。

どうか皆様、ともに日本の新たな一歩を踏み出しましょう。ご清聴ありがとうございました。

上記を10箇条でまとめてみた

  • 強い経済を再構築し、国民の不安を希望に転換すること
  • 積極財政により所得向上と賃上げの好循環を実現すること
  • 物価高対策を迅速に講じ、国民生活を守ること
  • 中小企業や医療・介護など社会基盤産業を財政支援し、持続可能性を高めること
  • 社会保障制度改革や税制見直しを通じ、負担軽減と人口減少対策を進めること
    (103万円の壁、子育て支援、高齢化対応など)
  • AI・半導体等の戦略分野への投資で日本の成長力と技術力を強化すること
  • エネルギー安全保障と脱炭素化を両立させ、国力を強化すること
  • 地方活性化を進め、地域への投資を促し、若者が住み続けられる環境をつくること
  • 日米同盟を軸とし、安全保障・外交力を強化し国際秩序に貢献すること
  • 憲法改正、防災体制強化、政治への信頼回復など国家基盤を強固にすること

雑記
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